1.MTR(マルチトラックレコーダー)●MTRとは・・・?
MTR(マルチトラックレコーダー)は、デモテープを作るのに最適な機器です。とくに、ステレオ作品をつくろうとすればMTRは必要となります。 MTRを使えば、ボーカル・ギター・ドラムその他のパートを別々に録音し、あとであわせる(ミキシング)ということが可能です。ステレオ定位や音量も自由に設定できます。最後に録音したパートを2トラックにまとめて出力、録音します(ミックスダウン)。これでステレオ作品ができあがります。 実際の使い方としては元になる音、ベースやドラムを録音してそれを聴きながら他のパートを録音するやり方があります。もちろん同時録音も可能です。ただしうまく設定しないと他のパートの音をマイクがひろってしまうという欠点もあります。 MTRは基本的な4トラックのものから、本格的な16トラックのものまで、いろいろなものが市販されています。録音につかう媒体もさまざまで、主なものにはカセットテープ、MD-DATA、ハードディスクがあります。それぞれに長所と短所があります。 カセットの長所は安くて手軽なことです。あと多少録音レベルがオーバーしても、自然なコンプレッション効果が得られるという利点もあります。 MD-DATAはカセットより格段に音が良いのですが、録音の際にかなりのデータ圧縮を行っているので多少音がかわります。乾いたような音になるという意見も出ています。 ハードディスクは音質の点では一番良いと思います。いままでは、高い、むずかしいといった欠点もありましたが、近年はかなり改善されてきています。なお、MDもハードディスクもデジタルですので、許容範囲外の大きな音は割れてしまいます。録音レベルには注意が必要です。 アングリーバンドでは、カセットの4トラック、8トラック、そしてハードディスクの8トラックを使用していました。
●MTRをつかった作業のながれ
実際にどのようにして作業をおこなうのか、簡単に紹介したいと思います。ここでは4トラックを想定します。 まず、トラック1に元となるリズムを録音します。これはドラムでもいいのですが、クリック音と呼ばれるメトロノームのような音でもいいです。ここではリズムマシーンでつくったドラムパターンを録音することにします。 つぎに、トラック1の音を聞きながら、トラック2にベースを録音します。実際に弾く場合には「エフェクター」が必要ですが、ここではキーボードのベースの音色をつかうことにします。 これでリズムができあがりました。しかし残りのトラックは2つしかありません。これではボーカルとギター一つづつしか録音できません。 そこで、いままでに録音したトラック1とトラック2の音をあわせてトラック3に録音します。この作業は「ピンポン録音」と呼ばれています。この方法をフルに使えば4トラックで最大10のパートを録音することが可能です。 ピンポン録音の際に注意することは、それぞれのパートの音量のバランスです。一度録音したらそれが確定してしまうので、あとから「ベースの音をもう少し大きくしたい」といったことは不可能です(デジタル機器の場合はたいていアンドゥ機能というのがあり、行った作業の取消ができます)。 便利なピンポン録音機能ですが、上記のような欠点のほかにもどうしても音質が劣化してしまうということがあります。本格的につくるのであれば8トラック以上のものをおすすめします。